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2017年12月24日日曜日

Analogfish『There She Goes (La La La)』(12/23 渋谷WWW X)

  昨夜、渋谷WWW Xで「SPARTA LOCALS presents『TWO BEAT』出演:SPARTA LOCALS / Analogfish」を見て帰ってきた。甲府駅に着く頃には日付が変わろうとしていた。底冷えのする街を歩きながら、二つのバンドの残響が頭に回り続ける中で、12月24日を迎えた。

 SPARTA LOCALSは2009年9月に解散した。その際に志村正彦が安部コウセイに伝えた言葉が、『FAB BOOK』(角川マガジンズ 2010/06)「Special Interview for Fujifabric」に掲載されている。安部はこう述べている。


 「そういえば、スパルタローカルズが解散するっていう時に、すっごい志村に怒られたんですよね。電話がかかってきたんですよ。うわ、志村だ、あいつ絶対怒ってると思ってシカトしてたら、メールがきて。『てめえ、なんで電話にでねえんだ』って、キャラクター変わってる勢いのメールで。『スパルタが解散したら、ロックシーンはどうなるんだ』みたいな内容でした。別に、どうにもなんねえよって返しましたけど。でも、びっくりした。そんなに怒られるとは思ってなかったから。解散ライブには、フジファブリックみんなが来てくれたんですけど、すげえ睨まれた、志村から。ホント、子供みたいなやつですよね」


 志村にそこまで言わせたSPARTA LOCALSの存在。生で聴くことは永遠にないと思っていたが、昨年、「復活」した。ライブに行く機会を探していたところ、Analogfishとの組み合せで12月23日にあることを知った。クリスマスイブの前夜、渋谷は大変な混雑だろう。どうしようかかなり迷った。Analogfishは甲府の桜座でここ4年ずっと聴いてきた。彼らがライブの回数を減らしたせいか、今年、桜座での公演はなかった。年に一度は彼らの音の波動に浸りたい。SPARTA LOCALSとAnalogfishはフジファブリックの同世代バンドとして、志村が高く評価していた。2005年11月、この三つのバンドの合同企画「GO FOR THE SUN」イベントもあった。この機会を逃したら、この二バンドの組み合せを経験することは当分ないだろう。そう考え決心した。

 予想以上に渋谷は大変な賑わい。昨年のHINTOライブの時はハロウィンの最中だったがそれ以上の人出。華やぐ街を五十代後半男性が一人歩く場違い感がすごい。会場は満員。三十代後半から四十代前半の男性も少なくなかったので、少し落ち着けた。

 7時を過ぎてAnalogfishからスタート。この日はギターの浜本亮(Ryo Hamamoto)を入れての4人編成。桜座でのmooolsとの混成バンドで、浜本のギターを加えたAnalogfishを聴いたことがあるが、最初からは初めて。音に厚みがあり多彩だ。桜座では音が綺麗で垂直に立ち上がるが、WWWXでは音が重厚で水平に広がっていく。フロアで踊る若者にはこの感触の方が好まれるだろう。僕の好みは桜座だが。
 新曲もまじえて馴染みの曲が続く。佐々木健太郎は髪を後ろに束ねて別人のようだったが、力強く伸びる声は彼ならではの個性だ。下岡晃は「クソみたいな気持ちに対抗する」ために歌っているとMCで述べた。彼の歌詞はいつも時代に抗っている。この日は特に『There She Goes (La La La)』が素晴らしかった。祝祭感あふれるグルーブを斉藤州一郎のドラムが支えている。

 この曲のMVが粋だ。色彩のある街は渋谷だろうが、始まりと終わりそして時折、砂浜の白黒の映像が浮かび上がる。「砕けた夢のかけら」が舞い上がるかのように。 公式映像と歌詞の後半を引用したい。こんなラブソングはAnalogfishにしか創れないだろう。
    (この項続く)




『There She Goes (La La La)』(作詞:下岡晃 作曲:アナログフィッシュ)


  長い長すぎる夜を
  駆け抜ける方法は

  君が残していった香りを
  辿るだけでいいのさ

  Where are you going?
  わからない

  What do you believe in?
  何もない

  Where are you going?
  わからない

  What do you believe in?
  君だけさ Yeah

  La La La

  彼女が道を行けば
  砕けた夢のかけらが
  もう一度舞い上がる

  La La La

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